japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

岩手県南の漆

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岩手の漆の代表といえば浄法寺の漆です。漆の木が豊富にあることと、漆掻き職人が20数名現役で活動していますので名実ともに岩手、というより日本一の産地です。

ですが、江戸時代までは全国各地で漆掻きが行われていました。各藩が栽培を奨励していたのです。当時の漆掻きの中心地は越前(福井県)で、全国各地の漆産地へ出稼ぎする形で漆を採っていました。大和、丹波、備中など西日本での漆採取が盛んでした。

岩手県内も南部藩が漆掻奉行を置くほど漆栽培を奨励していました。特に岩手県北は漆の適地でもあり、街道沿いにたくさんの漆の木がありました。また、岩手県南も温暖で、多くの漆が植えられていたという記録があります。浄法寺から漆掻き職人が多数出稼ぎに来ていたそうですし、現地にも多くの漆掻き職人が活動していました。

平成22年、奥州市前沢区生母で約3000本の漆の植栽が行われました。地元の生母生産森林組合がこれから有望な林産資源として漆に注目したのです。当時はまだ文化財の修理修復に国産漆を使用する方針も出されておらず、むしろ国産漆が大量に余っている状態でした。売れない漆をこれからどうやって売り込もうかと思案していた中で、生母地区の方々は長期的な考え方で漆植栽を計画したのでした。

中国も日本同様に経済発展が進めば、重労働である漆掻きはどんどん廃れていくであろう、それに伴い漆価格も上昇し、中国国内での希少価値が高まれば輸出も減るであろうし、輸出価格も上がる。そうなると国産漆が見直されて、需要が高まるのではないかと推測したのです。

その後、東日本大震災を経て、平成27年2月の文化庁通知に至るわけですが、その先見の明には脱帽するしかありません。私も国産漆は需要が高まると感じていましたが、浄法寺よりも先駆けて植栽を実行に移した行動力は素晴らしいです。

私も当時植栽に参加しましたが、奥州市のみならず平泉や一関からの参加者も多く、県南一体となって取り組みであると感じました。

県南の漆を今こそ振興しようという取り組みが始まったところです。

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