読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

デービッド・アトキンソン「国宝消滅」

f:id:japanjoboji:20160212235200j:plain

東京の丸の内丸善で先行販売されていた、アトキンソン社長の新著「国宝消滅」を一足早く読了しました。ショッキングなタイトルですね。「新・観光立国」に続いてベストセラーになるのではと思います。

漆についても厳しいことが書かれています。手厳しい発言が多いですが、その矛先は自分の会社、小西美術工藝社へも向けられています。

日本は観光業に力を入れ、そのためには文化財をもっと活用すべきという主張はもっともで、かつてのイギリスも日本と同じような状況で、やむにやまれず試行錯誤しながら好転していったとのこと。いつかは日本も辿る道だからこそ、何かやらねばなりません。

読みながら思ったのが、岩手なら中尊寺金色堂のガラス張りをやめたらどうかと。LEDもいいですが、時々和蝋燭の明かりだけで金色堂を照らしたり…考えただけでもワクワクします。

現在の覆堂をなくすのは難しいと思いますが、警備を厳重にすればガラスを外すのは可能だと思います。建立当初は金色堂はむき出しだったし、旧覆堂の頃はガラスなんてなく、直接見られたわけですから…調温調湿のガラスケースの中の金色堂は綺麗ですが、アトキンソンさんのいう「冷凍保存」の文化財をガラス越しに見るのではなく、清衡公の思いが反映された金色堂を直に見てみたいです。

f:id:japanjoboji:20160213160047j:plain

(昭和大修理前の金色堂内陣)

 

この金色堂も平安から昭和まで幾度も修理を重ね、火災の危機も乗り越えてここまで残っています。いずれまた修理すべき時期が来るはずで、今の調整された良好な環境だと50年、100年経ってもこの状態が保たれているかもしれません。でもそれだと修理する職人が育たないのです。日光のように定期的にメンテナンスして職人の技術を伝えていくのも大事なことです。漆の木の育成にも繋がりますし、漆掻きも産業として存続します。

それにしてもアトキンソンさんならではの分析力はさることながら、日本語の語彙力には脱帽です。単なる日本文化批判ではないのは明らかで、日本そして浄法寺に対する期待の現れも感じ取れます。

f:id:japanjoboji:20160213160410j:plain

(浄法寺の漆林で、漆掻きの工藤さん、アトキンソン社長と)

 

(国宝消滅)

http://www.amazon.co.jp/…/4…/ref=cm_sw_r_tw_dp_LzGVwb0HSFZCA