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japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

漆に関する質問主意書

40年近く前に国会で漆に関する質問主意書が出されていました。

長野県選出の小沢議員(故人・民社党)によるものです。

答弁では「漆樹の植栽については、造林補助事業の途も開かれているが、いわゆる漆かぶれの問題があるので一般林業者が造林することは期待できないと考えられる」とありますが、岩手では昔から一般林業者が漆を植えていますのでこれはあたりませんね。もちろんかぶれが嫌という方もいますが。

 

昭和四十九年五月八日提出
質問第二八号

 漆に関する質問主意書

右の質問主意書を提出する。

  昭和四十九年五月八日
提出者  小沢貞孝

          衆議院議長 前尾繁三郎 殿

 

漆に関する質問主意書


 漆器類の産地と関連業界における各種漆類の不足と価格の高騰ぶりははなはだしく、業界としてはその打開策に苦慮しているが、国産の現況、輸入の客観的状勢等から見て、当分好転のきざしは認められない。過去における漆の国産量、輸入を含めての需給状況は次のようになる。

過去における漆の国産量、輸入を含めての需給状況 

f:id:japanjoboji:20160211122419j:plain

 本表でも分かるとおり、最近の供給総量四百三十八トンは使用希望といわれる五百トンに対し約十五パーセント程不足する。このような状況下において現に発生し又は発生が予想される諸問題の解決は最緊急事である。よつて、次の事項について質問したい。


一 日本の伝統工芸の一つである漆業振興のため、国産と輸入を含めた原料の安定確保のため強力な優遇助成策を早急にとるべきだと思うが、どうか。


二 前掲の表で示されているごとく、国産漆の生産量は減少の一途をたどつている。普通十年生の漆樹一本当たり約〇・二キログラムの採漆が可能といわれているが、日本には山岳地帯を含めて広い林野があるゆえ、国有林、私有林の別なく漆樹の植林を奨励して生産量の増大を図るべきであると思うが、どうか。

 また、そのためには政府の指導のもとに苗木の確保を図ることはもちろんのこと現有の早成樹種の造林の補助わくを拡大し、各都道府県とも歩調をあわせて奨励策をとる考えはないか、政府の指導方針を伺いたい。


三 最近の漆価格の高騰ぶりは著しく、昭和四十八年の年初と年末では四倍近くなつているものを含めて平均二倍以上になつている。これは、小企業が多く手工業を主とするこの業界にとつては存廃につながる大問題である。
  伝統的工芸品産業の振興に関する法律第六条の規定による資金の確保等について、政府は至急対策を講じ、経営基盤の確立を図るべきだと思うが、政府の方針を伺いたい。


四 製漆業界、漆器業界も最近の後継者難には頭を悩ましている。政府は、伝統的工芸品産業の振興に関する法律第三条の規定に基づく振興計画の作成を急がせるとともに、当該産地の近くに後継者育成と技術習得のための産業学校又は指導所を設置し、伝統産業存続育成のための人材確保を図る必要があると思うが、政府の見解を伺いたい。


 右質問する。

 

昭和四十九年五月十七日受領

答弁第二八号
(質問の 二八)

  内閣衆質七二第二八号
    昭和四十九年五月十七日
内閣総理大臣 田中角榮

         衆議院議長 前尾繁三郎 殿


衆議院議員小沢貞孝君提出漆に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。

 

衆議院議員小沢貞孝君提出漆に関する質問に対する答弁書

 

一について
 御指摘のように伝統的工芸品産業の原材料としては漆をはじめ天然のものが多く、これらの原材料の安定確保が重要な問題となつている。
 政府としても、漆等の天然原材料の需給状況等の実態を調査し、長期的観点から伝統的工芸品産業の振興に支障のないよう天然原材料の安定確保を検討してまいりたい。
 その際、今般成立した「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」により設置された伝統的工芸品産業審議会の意見も十分聴いてまいりたい。


二について
 中国産等の生漆がこれまで安価に輸入されたのに伴い、国産生漆の生産は衰退を余儀なくされ、国産生漆の供給量は、総需要量の一パーセント程度となつており、今後、中国産等の輸入の安定的な確保が重要であると考えている。
 漆樹の植栽については、造林補助事業の途も開かれているが、いわゆる漆かぶれの問題があるので一般林業者が造林することは期待できないと考えられる。しかし、漆関係の組合等が積極的に造林する希望があるのであれば、関係都道府県との連携をとりながら漆樹の増殖に努めてまいりたい。


三について
 伝統的工芸品産業を営む企業は、御指摘のとおりそのほとんどが小零細企業であり、資金調達能力は乏しい。
 政府としても、この点にかんがみ、また、「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」の規定の趣旨にものつとつて昭和四十九年度から国民金融公庫を中心に低利の特別貸付制度を創設し、資金の供給を円滑ならしめようとしているところである。
四について
(一) 御指摘の「伝統的工芸品産業の振興に関する法律」第三条の振興計画は、いわゆる産地組合が主体となつて地方公共団体とも協力して作成されるものであるが、政府としても振興計画の作成手順を示す等適切な指導をしてまいりたい。

(二) また、後継者確保育成問題については、政府としても伝統的工芸品産業の振興にとつて、最重要問題の一つと考えており、昭和四十九年度から伝統的工芸品産業に対する後継者確保育成のための研修費の補助等の措置(総額一億二百万円)を講じているところである。


 右答弁する。