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japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

新潟の漆掻き、渡邉勘太郎さんの話

数年前に亡くなられましたが、新潟県の朝日村に漆掻き職人の渡邉勘太郎さんという方がおられました。確かお歳は90歳近かったと記憶しています。

私が県職員時代、漆を担当していたときに、ご縁がありお電話をいただいたことがあります。今日書類を整理していましたらその時のメモが出てきたのでここにご紹介します。

 

・  職人の誇り・漆の質

やはり職人は、職人の意地と自分の誇りをもって、本当に維持と誇りをもってそして継続しているわけですから、本場(の浄法寺)は、職人の数も多いし、お互いに競争意識を持ってやってるので腕が上がる。切磋琢磨している。うちの産地は漆の質が良いとか、産地ごとの話も聞く。

掻き職人は、掻くことは専門だけれども、塗りはそうではない。漆の品質は塗る人が評価するもの。結局は、塗る人にあったのが良い漆なので、万人向きというのはない。下塗りの人には下塗りに合ったもの。上塗りには上塗りの人が個人個人で評価する。

「品質は日本一」は自分達の話で、幾重にも評価できる。決して批判しているのではない。

 

・ 漆の産地と今後の課題。岩手の使命。

朝日村では、土質がいろいろある。真っ黒な土に生えた漆は黒ずむ。砂地の漆は綺麗だ。これは見た目の話だ。

漆の畑は、浄法寺はほとんど傾斜地で百町歩も植えたと聞いているが、適地とは言えないと思う。15年程で伐採する。一代の漆が土の栄養をとる。二代目が育つとき栄養が足りなくなる。人工的に肥料とか地力のつく何かを施して継続的に食隣地を育てる。面倒を見なければならなくなる。

どんな肥料・どんな成分を施してでも、30年、50年、継続させなければならないのではないかと思っている。これからの研究課題と思う。

有機肥料でも豚の肥、鶏糞など、何が適しているか、長い時間をかけて研究していかなければならないと思う。

 採取する職人は、これから面倒な課題ではないかと思う。全国の産地がなくなっても、岩手は残る。

地球温暖化で平均気温が上がっている。33度以上の高温が何日も続くと、体が参ってしまう。額から流れ落ちる汗が目に入るとがまんできない。だんだん北の方の漆の採取は有利になってくると思う。

あなたの団体は、強固な組織力がおありのようだし、組合間の軋轢はないと思うし、全国的に見て、岩手は残さなければいけないのでよろしく頼む。

 

・歴史の中の産地の移り変わり

昔は京都・奈良時代越中丹波・吉野が産地だった。戦時中は福井県が漆の主な産地だった。私の住んでいるところでも、1300年前に漆の山の神社があったことが、古文書に記されている。今では現役として継続しているのが私一人。

 

・ 日光へ

浄法寺の方々と一緒に日光での研修に参加する。これが最後かもしれない。夜の懇親会などもさまざま楽しみにしている。浄法寺の皆さんは仲間だと思っている。

これからもいくらでも漆をとっていきたいと思っている。ひとつよろしくお願いします。

 

一つ一つの言葉が漆の一滴のようにとても貴重に感じられます。

「国産漆をよろしく頼む」、との渡邉さんからの伝言です。