japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

正法寺と鉄鉢椀

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この椀、前回ご紹介した増沢塗の及川さんが作ったものです。

このような形をしたお椀を応量器とか鉄鉢椀といいます。お坊さんが使うものを応量器というのかな?

岩手の古椀に「正法寺椀」という名椀があります。奥州市水沢の正法寺という曹洞宗の大きなお寺のお椀なのですが、かつては東北地方の曹洞宗の中心寺院として発展したところです。1348年の開山で、かつては永平寺、総持寺と並んで第三の本寺の格式を有し、末寺の数は1200を数えた頃もあったそうです。
日本一の茅葺き屋根の本堂があることでも有名です。
http://www7.ocn.ne.jp/~shoboji/
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その正法寺で、自分たちで使う食器を作らせたのが正法寺椀の始まりとされ、その黒漆塗りの椀は名椀として名高いです。
現存する正真正銘の正法寺椀は正法寺に少しあるだけで、私もホンモノを見たのは昨年の岩手県立博物館での展示だけでした。
高台がなく、底が少しすぼまった形が特徴的です。ケヤキを木地に使った無地の黒椀で、入れ子椀になっています。禅僧が持ち運びしやすい形で、軽くするために薄く挽いてあるそうです。

その正法寺にほど近い胆沢の地に工房がある及川さんがこの鉄鉢椀を作りました。正法寺椀と同じくケヤキで、浄法寺漆のみで仕上げています。

「正法寺椀」という名前で販売しているのはなぜか輪島の漆器屋さんだけみたいです。
しかし、こちらの鉄鉢椀は正法寺椀という名前では販売しにくいです。正法寺にある数少ない古椀が正法寺椀であり、正法寺の名前を使うには畏れ多いからです。正法寺椀風のお椀なら別ですが…
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あと、正法寺は「しょうぼうじ」と読みます。なんとなく浄法寺(じょうぼうじ)と似ていませんか。昔の人も混同していたようで、正法寺椀なのか浄法寺椀なのか区別が付きにくいところが難点ですね。しかも同じ岩手の漆器ですし…