japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

日光へ

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日光二社一寺の修理修復を手がけている、日光社寺文化財保存会へお邪魔しました。
来年度以降の修理計画についての打ち合わせのためです。

元々日光の社寺は国産漆でずっと修復してきています。一時期、一部に中国産を使うようになり、またオール国産に戻ったのです。でも中国産で塗るということはそれまでの国産漆での漆工技術が少しずつ廃れてしまうことを意味します。

浄法寺漆を100%使っての修理は、技術的にも大変なようですが、日光の職人の方々は浄法寺漆を使うことによって、江戸時代から培われてきた漆工技術が継承され、さらに浄法寺の漆掻き職人の仕事が増えることを願い、日々研鑽されています。若手の漆職人も増えたそうで、嬉しいことです。

日光では浄法寺の漆を全種類(初辺、盛辺、末辺、裏目)買って使っています。乾きの良いものも悪いものも。なんとか使いこなして塗るから心配しなくていい、とも言っていただいて、本当にありがたい限りです。漆掻き職人の仕事を真剣に考えてくださっているからこそです。

東照宮の宮司さんはじめ、二社一寺の関係者の方々が国産漆を使うことにご理解いただいているのが本当にありがたいです。そういう関係者のご理解がなければ、文化財修復に国産漆を使うことはなかなか叶わないのです。

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日本全国にある文化財の修理修復は待ったなしの状況にありますが、国の予算の範囲内でしか対応できないのが現状です。できれば国産漆を使いたいけれど、予算の関係でどうしても中国産を使わなければならないとか、こういう技法で修理したいけれどもコストがかかりすぎるので断念しなければならないとか、簡単には行かない面があります。

少しでも国産漆を使っていただきたいのが産地としての願いですが、国産と中国産が何が違うのかという話になります。
情緒的に「日本人なら国産だろ」となりがちですが、それだけでは説得力がないのです。コストの話は非常に大きな壁というかクリアしなければならない関門です。

かといって国産漆の価格を下げることは後継者が減ることを意味します。現在でも採算割れしながら漆を採れているのは年金による収入があるからです。
一時期漆価格を下げたこともありましたが、それでも漆は売れませんでしたし、廃業する人が続出しました。他の国内の漆産地が廃れたのも、漆掻きでは稼げないからです。

いつまでも70歳以上の漆掻きのおじいさんに頼っているわけには行きません。後継者育成のために研修生を毎年育てていますが、経済的に安定しないと漆掻きをやろうとは誰も考えませんよね。

国産と中国産の比較の話をするとある程度納得していただけるのですが(成分組成が違う、採取方法が違う、固まり具合が違うとか‥)、それによるメリットをPRしなければなりません。
先日伺った木曽漆器の方々からも、国産と中国産は明らかに違うし、国産漆を使う割合は非常に少ないけれども、なくてはならないものだとお話いただきました。

そういう職人の方々のためにも、浄法寺ではいい漆を取りつづけていきたいと考えています。