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浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

今年も終わり

年の瀬の浄法寺へ。漆掻き職人の佐藤さん(前の組合長)のお宅に家族でお邪魔しました。

佐藤さんのもち米で、のしもちを作っていただけるということで喜び勇んでお伺いしたところ、箱一杯に切り餅にして詰められて準備されていました!なんとありがたいことか。

佐藤さんご夫妻と、土間の薪ストーブ(漆の掻き殻を薪にしています)にあたってお茶をいただきながら、ちょこっとお話しました。
今年は例年にないくらい漆が売れない一年だったので、佐藤さんから労いの言葉をかけていただきました。労わなければならないのはこちらのほうなのですが...とても嬉しいひとときでした。


さて、今年の振り返りでもないですが...正直厳しい一年でした。
国産漆は以前から厳しい状況にあるといわれていますが、最近は中国産漆の輸入量も激減しており、漆自体の消費が減っています。もちろん景気の低迷という要因もあるのですが、漆という素材のポテンシャルを我々がまだ引き出していないことも原因のような気がします。

私は塗師でも漆掻き職人でもないので、地元浄法寺の漆の特性をいかに引き出すか、そしてその漆をいかにして使ってもらえるかを考えていますが、まだまだです。浄法寺漆はおろか、漆のことを知らない人がなんと多いことか。県内の人でも浄法寺がどこにあるか知らない人もいるのです。
国産漆に対する逆風をモロに感じたこともありました。営業で漆器屋さんに電話をかけたら、「国産漆は今までも使ってないし、これからも使うつもりはないから、もう電話しなくていいです」と言われたこともありました。

先人が長年培ってきた漆の文化は、明治以降ずっと低迷し続けています。今のように便利な素材や材料がない中で、苦心しながら自然物を有効に利用して素晴らしい作品、モノを作ってきた縄文以来の漆工職人。自然物である漆を使いこなしてこその漆職人なはずですが、国産漆を全く使ったことがない職人も多くいますし、漆掻きを見たことがない方も当然いらっしゃいます。
できれば、浄法寺でも茨城県の大子でもいいから漆掻きを一度見ていただきたいと思うのです。夏場は漆掻きの最盛期ということもあって、職人の一番の稼ぎ時のために見学者がいることを嫌がる職人もいることもあるのですが、漆掻きを見せない限りやっぱり夏場の漆掻きをできるかぎり見せられるようにしたいと思っています。今年夏に輪島から訪れた塗師の若者2人は漆の採取を間近で見るのは初めてだということで、熱心に見学して満足そうにしていたのが印象的でした。

今年は、岩手県立博物館の開館30周年記念で「いわての漆」展が大規模に開催されたのが一番のニュースでした。漆掻き実演3日連続というのははじめての試みでしたが大成功。セミナーでも講師で参加させていただきました。何年先になるか分かりませんが、「いわての漆Ⅱ」を期待したいものです。
それから、地元浄法寺でも「メッセうるしさま」という長期イベントがありました。地元の飲食店で気軽に浄法寺の漆器を使えるというのは初めての試みで、地元の方々に漆器の魅力が確実に伝わった手応えを感じました。
その浄法寺漆器を使ったイベントを盛岡のミニコミ誌・てくり(まちの編集室)と組んで「漆器であじわう北の食材の夕べ」をヌッフ・デュ・パプさんで開催しましたね。漆器を実際に使ったり触れたりしないと質感は分からないですから、今後もこういう企画を続けていきます。

個人的なことでは、岩手放送の「じゃじゃじゃTV」に家族で出演しました。漆特集ということで浄法寺漆を大々的に取り上げていただいたり、若手職人の猪狩さんと盛岡の南昌荘で天日くろめの実演もしました。私も初めての経験でしたが、意外と一般の方々も積極的にくろめに参加してくれたりして、なかなか好評でしたね。

今年も皆様には大変お世話になりました。来年も浄法寺漆をどうぞよろしくお願いします。