japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

地元の漆で漆器を作るということ

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 今でこそ我が家では全員漆器を使ってますが、漆の仕事に携わる以前は器については全然無頓着でした。

 それこそ漆器まがいのお椀を使っていたんですが、本物の漆器を実際に使ってみるとご飯がおいしくなる気がします。
 手や口に触れる感触も柔らかくて、特に私と妻が使っている岩舘さんの汁椀(中)は持ちやすく形もモダンです。

 ネットショップでも一番多く売れているのが汁椀(中)で、その中でも溜塗のものがダントツです。

 溜塗りは一度朱塗りした上に、素黒目漆という透き通った漆液に少し黒漆を混ぜて塗る手法なんですが、既に椀の縁の部分に朱色がうっすら浮き出ていて、その濃淡がなんとも言えないです。使い込んでいくうちにだんだん艶が出てきて、自分ならではのお椀になっていくのでそれがまた楽しいです。

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 塗師の岩舘さんはお父さんが漆掻き職人で、以前までは父親の掻いた漆を自ら精製して塗っていたんですが、ご高齢となり引退した今は岩舘さん自身が週に一度早起きして、隣町まで漆を採りに行っています。
 
 本来なら地元の漆掻き職人から漆を購入すれば手っ取り早いのに、なぜ自ら漆を採るのかと聞いてみたところ、

 「やっぱり浄法寺の漆は高いから、そのままだと自分が作った漆器もコスト的に高くなる、だから自分で採ってきた方が少しは安い値段で使ってもらえるからね」 と・・


 岩舘さんのお椀は一個5,000円以上しますが、とてもリーズナブルです。浄法寺漆をふんだんに使い丁寧な仕事をしていれば普通1万円以上します。でも岩舘さんのポリシーで「普段、毎日漆器を使って欲しいから敷居を低くしている」のです。
 一個1万円以上のお椀が売られている中で、国産の漆を使った漆器としては破格の値段です。売ってる私としても本当にこの値段でいいの?と思ってしまいます。
 
 木地も大野の木地屋さん(岩手県沿岸北部にある木工が盛んな地域です)の良質なものを厳選し、漆は地元産のものを自ら採ってきて精製して塗るというスタイルは国内探してもほとんどないと思います。浄法寺でしかできない製作スタイルです。

 浄法寺には若手の漆掻き職人・鈴木健司さんが、会津の塗師出身という経歴を活かして、岩舘さんと同じように自分が採った漆で漆器を作るスタイルを確立しています。自分好みの漆を漆器作りに活かすという方法は、全国第二位の産地、茨城の大子でも広がっていますし、岡山の備中でも地元産の漆で"郷原漆器"という漆器を復興させた事例もあります。


 漆産地の新たな挑戦が始まっています。


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