japanjoboji blog

浄法寺漆産業 一人社長のブログです。 漆の産地、岩手県浄法寺の漆や漆器のこと、その他いろいろつづります。

うるし掻き保存会研修

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 日本うるし掻き技術保存会の「成分分析研修」が29日から2日間、岩手県工業技術センターで行われており、私も参加しました。

 メインの研修は現場での漆掻きなのですが、こういう座学もあるのです。

 保存会は平成8年に国の選定保存技術「日本産漆生産・精製」技術の保存団体として認定され、文化庁二戸市から補助金を受けて漆掻きの伝承者の養成を行っています。

 前にもブログで紹介しておりましたが、長期研修生の久慈さん、臼杵さん、猪狩さんと「地方の元気再生事業」の就労プログラム事業のメンバーとして活動している小村さんの4人が研修を受けました。

 講師は私がいつも精製研修でお世話になっている同センター企画デザイン部の小林さん。

 
 ところで漆ってどんな成分からできているかご存知ですか?

 大きく分けると、

 (1)ウルシオール(主成分)
 (2)水分
 (3)ゴム質(水溶性多糖類)
 (4)含窒素物

 の4種類で構成されています。この4つの要素が漆の特徴を決定づけています。

 なぜ分析する必要があるかというと、漆は水分によって硬化(乾燥)するので、最低限水分がどの程度含まれているかを調べることによってある程度の硬化の度合いを見ることが可能になるからです。もっとも、漆を使う場合にいちいち分析することはありませんが、私が事業として行っている精製の過程であらかじめデータを取って置き、ユーザーの参考にしてもらうといった使い方が考えられます。

 漆液の中には酵素があり、この酵素の働きによって漆の主成分であるウルシオールが酸素を取り込んで重合反応し、硬化が起こります。水分が飛んで乾燥するのではなく、取り込んで硬化するのです。
 
 漆器を作るときには「風呂」とか「室」という木製の棚の中を湿気で充満させて、そこに置いて乾燥(硬化)させます。湿度が低いと全然乾きません。なので、今の時期のようなムシムシした環境が漆にとっては最も適しているのです。逆に冬は乾燥しているので全然乾燥しません(なんか変な感じですよね)。


 漆は化学的には常に"塗り立て"の状態といってもいいかもしれませんね。表面は硬化しているのでカブレることはありませんが、その内部では酸化重合反応が続いているのです。毎日食卓で使って普通に洗っていけばほどよく湿度が保たれて硬化も進んでいきますし、使用による艶も出てきます。

 紫外線には弱いので徐々に結合の鎖が分断されていきますが、それも自然素材として当然のことでしょう。永遠に変わらない姿というのもなにか怖いですし・・仮にひび割れたり、退色したとしても容易に漆でリペアすることもできます。

 漆器は"生きている器"と言っても過言ではないですね。
 

 研修生の方々、うるし掻きはこれからが本格化しますので頑張ってください!